ptexlive の開発状況 †
ptexlive (for TeX Live 2009) についての開発状況を説明します。
以前の状況は 開発状況2008 に移動しました。
開発目標 †
時が解決するような問題は後回しにして、
「TeX Live に pTeX が取り込まれるとすればどのような姿が適当か」
を模索します。
海外ユーザにとって害のないように pTeX を組み込むためには、
コマンド名の衝突、独自の日本語拡張を極力排除せねばならないので、
ここに焦点を絞ります。
TeX Live にある不具合は、直接 TeX Live で修正してもらうことを推奨し、
ptexlive では直さないように心がけます。
不具合の修正に関して、本家の知識が最も豊かであるということが、一つの側面です。
もう一つの側面として、国内の配布物で修正を行ったとしても、
本家にバージョンアップがあった場合に、この修正が無駄になってしまう、ということがあります。
ptexlive のような下流のプログラムでは、このような修正が多いほど、
本家のバージョンアップに追従するための手間が増え、結果として開発停滞を招きます。
ですので根本から直すという態度を明確に表すことにします。
目の前で起こっている動作不良を直すことは、
開発者にとって面白く、やりがいのある作業なので、ついつい陥ってしまいがちです。
しかしこれが罠で、ゆくゆくは自分の首を締め、本家のバージョンアップの時に苦しむことになります。
ですから、自戒をこめてこの方針を明文化しました。
どうかご理解下さいますようお願いいたします。
完了した作業 †
- ptex, pbibtex, ppltotf, ptftopl, pdvitype をコンパイル
- 新しい autoconf に対応、mendex, makejvf もその枠内で
- pdvips, pxdvi, nkf も OK
- texlink によるリンク生成, fmtutil による fmt 生成
- ドキュメント類を UTF-8 に変換、マクロは UTF-8 with BOM に
- UTF/OTF が動く(configure オプション+古くするパッチ)
- OTF の開発版への切替え
- 同梱物の .gz → .xz 化でサイズ削減(-15%)
- ptex.fmt のできる場所は正しいみたい
- 無駄にできる fonts/map/dvipdfmx のディレクトリを消す
これから解決すべき問題 †
- dvipdfmx bug? with UCS2/UTF16 fonts で何をすればよいか
- Babel 対応処理
- ptexdir/lib のコンパイル方法を再検討
- ptex の synctex 対応
- --enable-shared の動作検証
- mendex で unsigned char と char 混在で警告多数
- asymptote がコンパイルされてない
- $TEXMF/ptex/ -> $TEXMF/tex/platex/
- jmpost がない
- pxdvi が ~/.xdvirc を読み込まない(書き込みはOK)
- 手抜き RPM 作成
対処しない問題 †
配布物の比較 †
TeX Live 2008 vs TeX Live 2009 †
- データ圧縮形式が lzma から xz に変更された。
- 配布物がさらに巨大化 1.2GB → 1.4GB
- ネットインストーラなどの位置づけは同じ。
1年間バージョン固定ではなくて、随時新しいマクロ等が手に入る。
- ただし随時 update することが推奨されてるわけではない。
- DVD イメージのほうは固定。
- 内部的には、随分と整理された感じがする。同じことを何度も書かなくてよくなった。
- configure に時間がかかるようになった。コンパイルは並列処理が可能になったので、マシンが贅沢であれば高速化もある程度は可能であるが、configure は並列化されないので、どうしても時間がかかる。
ptexlive for TL2008 vs ptexlive for TL2009 †
- インストール方法はほぼ同じ
- 配布物のサイズも同等 1.4MB → 1.3MB
コメント †